【開催レポート】地方で経営者になるという選択肢——UIターン起業・事業承継・サーチファンドのリアル
お知らせ
公開日:2026/08/03
更新日:2026/08/03
株式会社日本サーチファンド(J-Search)は、株式会社鶴結びの協力のもと、2026年7月28日(火)、東京・大手町にて、UIターンキャリアセミナー「地方で経営者になるという選択肢」を開催しました。
当日は、都内に勤務する30〜50代を中心に、将来的なUIターン、経営者キャリア、そして都市部で培った経験を地方企業の成長に活かすことに関心を持つ約30名が参加。講演後の質疑応答や懇親会まで熱気が続き、地方での事業承継・経営参画を具体的なキャリアとして考える機会となりました。
起業を決める前に知っておきたい、地方ならではの課題と機会
第一部では、株式会社鶴結び 代表取締役社長の卓間 昭憲氏より、地元・鹿児島での起業経験をもとに、地方で事業を立ち上げ、地域の課題に向き合うことのリアルが語られました。
卓間氏は、鹿児島の学生と企業の採用におけるミスマッチを減らすことを目指し、学生向けのキャリア支援や企業向けの採用支援を展開。地方では、採用を専門に担う人材が不足していたり、学校教育や事業承継にも人材面の課題が広がっていたりと、都市部からは見えにくい困りごとが多く存在することを紹介しました。そうした地域の課題に向き合い、行動し続ける中で、事業の種や地域に貢献できる余地が見えてくることが語られました。
講演の終盤では、「地方で起業したい」という相談を受ける機会が多い一方で、実際に地域でゼロから事業を立ち上げるには、課題との出会い、顧客や仲間との関係づくり、資金、タイミングなど複数の要素が重なる必要があり、決して簡単ではないことにも触れられました。だからこそ、地方で経営者を目指す際には、起業だけに選択肢を絞るのではなく、既存企業への参画や事業承継、外部の仕組みを活用した経営者への道など、複数の選択肢を広げて検討することの重要性が示されました。
サーチファンドで実現する、地方企業の「第二創業」という選択肢
続いて、J-Search 専務執行役員の相馬 千太郎より、サーチファンドの仕組みと、UIターン人材にとっての新たな経営者キャリアの可能性について紹介しました。
サーチファンドは、経営者を志す個人が投資家の支援を受けて承継先企業を探し、M&Aを経て経営者となる仕組みです。ゼロから事業を立ち上げる起業とは異なり、既存の顧客や従業員、信用を受け継ぎながら成長を目指す「1→10」の挑戦であり、地方企業の「第二創業」を担う機会でもあります。
講演では、地方企業の承継を通じて事業の成長を実現する「第二創業」という考え方について解説。都市部で培った経験を持つUIターン人材に向けて、転職や起業とも異なる、サーチファンドを活用した「経営者になる」という新たな選択肢とそのメリット、J-Searchの地域特化型の支援体制を説明しました。
また、実際に承継先企業の探索に取り組むサーチャーの事例を交えながら、サーチ活動や経営承継のリアルなイメージを共有しました。参加者からは、「サーチファンドという仕組みを初めて知ったが、興味がわいた」「さまざまなバックグラウンドを持つ人が挑戦していることが分かり、自分にも可能性を感じた」といった声が聞かれました。
総合商社から地方企業へ──次世代経営者が語る事業承継のリアル
第三部では、株式会社エコー 取締役の児玉 椋太様より、Iターンで地方企業の経営に参画し、老舗企業の事業承継と組織変革に取り組む中で得た実感を共有いただきました。児玉様は総合商社で8年間勤務した後、山形県酒田市にある創業70年以上の老舗企業・株式会社エコーの経営に参画し、現在は次世代経営者として経営戦略やDX推進に取り組んでいます。
講演では、大企業と地方中小企業との違いとして、意思決定のスピード感や裁量の大きさが語られました。大企業では多くの関係者を巻き込みながら進める施策も、地方企業では経営者自身の判断で迅速に実行できることが多く、自らの意思決定が会社の変化に直結する面白さがあるといいます。また、都市部では当たり前とされる業務改善やDX・組織づくりなどの知見が、地方企業では大きな価値を生み出す場面も多く、これまでのキャリアで培った経験を十分に活かせることが紹介されました。
さらに、事業承継はゼロから事業を立ち上げる起業とは異なり、既存の顧客・従業員・信用を受け継ぎながら経営に挑戦できる点も大きな魅力として挙げられました。地方で経営者になることは決してキャリアダウンではなく、むしろ都市部で培ったスキルを活かしながら、会社や地域に直接インパクトを与えられる機会であると語られました。
講演の締めくくりでは、地方移住の本質は単なる田舎暮らしではなく、「自分の人生の主導権を取り戻すこと」だというメッセージが印象的でした。自らの意思決定によって会社が変わり、地域が変わり、働く人々の未来にも影響を与える。地方企業の事業承継には、そのような経営者ならではの醍醐味と可能性が広がっていることをお話いただきました。
交流会を通じて、次の一歩を考える機会に
講演後には質疑応答と懇親会を実施しました。参加者からは、地方企業に入る際の従業員との関係づくり、異なる業界・地域に飛び込む際の不安への向き合い方、家業承継や地方移住を見据えたキャリア設計など、実践的な質問が寄せられました。
また、サーチファンドに関心を持った参加者からは、サーチャーに求められる経験やスキル、自身のキャリアで挑戦できる可能性、具体的な活動プロセスなどについて、多くの質問や相談が寄せられました。
約30名が出身地や業種を超えて集まり、登壇者やJ-Searchメンバーと直接対話する中で、会場は大いに盛り上がりました。参加者にとって、地方で経営者になるという選択肢を、自分自身のキャリアの延長線上に具体的に描く時間となったのではないでしょうか。
地方企業の未来を担う、新たなキャリアの選択肢として
都市部でキャリアを築いてきたビジネスパーソンの間で、「いつか地元に戻りたい」「これまでの経験を生かして地域に貢献したい」「今のキャリアの延長線上でよいのか見直したい」といったUIターンへの関心が高まっています。一方で、地方でどのようなキャリアを描けるのか、自身の経験やスキルを活かせる環境があるのか、不安を感じる方も少なくありません。
今回のセミナーでは、地方での起業や事業承継、そしてサーチファンドを通じた経営者キャリアなど、多様な可能性についてお伝えしました。講演後の交流会では、サーチファンドに関心を持った参加者から、必要な経験や具体的な活動プロセス、自身のキャリアとの接点について、多くの質問や相談が寄せられました。
J-Searchは今後も、地方企業の事業承継と成長を支援するとともに、経営者を志す方々の挑戦を後押ししてまいります。「地方で経営者になる」という選択肢に関心をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。