サーチファンドとは?仕組みや従来のファンドとの違い・メリットを解説

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公開日:2026/01/23

更新日:2026/02/03

事業承継や経営を検討するビジネスパーソンのイメージ

事業を引き継いで経営者を目指したい人の中には、資金や経験面で不安を抱え、どこから動けば良いか悩むケースが少なくありません。M&Aを活用した事業承継に興味があっても、実際の進め方や資金調達の方法が分からず、一歩を踏み出しにくいことがあります。

その選択肢のひとつとして注目されているのがサーチファンドです。企業の承継機会を探し、支援を受けながら経営に挑戦できる仕組みとして、起業よりリスクを抑えたい人にも検討されやすい傾向があります。

この記事では、サーチファンドの仕組みや従来型ファンドとの違い、メリットや注意点などを順に解説します。経営者を目指すキャリアを考えている人は参考にしてください。

サーチファンドとは何か

投資家や支援企業との協力をイメージする握手

サーチファンドとは、サーチャーが事業承継のために設立する法人等を指し、そのビジネスモデルは、経営者を目指す個人が企業の承継機会を探し、投資家や支援組織と協力しながら事業を引き継いで経営を担う仕組みを指します。1980年代にアメリカで誕生したモデルです。
日本では、この仕組みを投資家層に合わせて発展させた「アクセラレータ型」が主流で、個人が単独で投資家や企業の承継機会を探索する欧米型とは異なり、ファンド運営会社や投資家と連携しながら探索や承継を進められる点が特徴です。

サーチファンドの基本的な考え方

サーチファンドの基本にあるのは、経営者候補となるサーチャーが承継先となる企業を探し、事業を引き継いで企業の成長に向き合うという考え方です。欧米ではサーチャーが主体的に探索を進める形が多い一方、日本では探索から承継後の経営まで、支援を受けながら段階的に進める形を選択する人が多いです。
企業探索の段階から、候補企業の情報提供や面談の場づくりなど、個人では得にくいネットワークや支援組織の信用を活用できます。事業の数字だけで判断するのではなく、経営者の思いや組織の雰囲気なども含めて向き合える点が、この仕組みの大きな特徴です。

サーチファンドが注目される背景

日本でサーチファンドが注目を集めている理由には、事業は続けたいのに後継者が見つからない企業の増加があります。特に地方では、地域産業を支える中堅・中小企業が事業承継に悩むケースが多く、サーチファンドは意欲ある人材が後継者として経営を担う選択肢であると期待されています。アクセラレータ型では、候補企業との接点を得やすく、面談や企業理解を深める機会を持ちやすい点が特徴です。承継に向けて丁寧な対話を重ねられるため、企業側にとっても安心感につながりやすくなります。
こうした仕組みが日本の中堅・中小企業の事業承継課題の解決に貢献できることから、サーチファンドは今後さらに広がっていくと考えられています。
参考:中小企業庁「2025年版中小企業白書(事業承継)」

サーチファンドの仕組みと活動の流れ

サーチファンドの活動は、資金調達、探索の準備から企業探索、条件調整、承継、そして承継後の経営まで、段階を踏んで進みます。日本では資金調達なしにファンド運営会社などの事業者の支援を受けながら進める形が一般的で、初めての挑戦でも仕組みを理解しやすい点が特徴です。

兼業から始められる日本型サーチ活動(兼業サーチ/プレサーチ)

日本の主流である「アクセラレータ型」のサーチファンドでは、サーチャーがすぐにフルコミットする必要はなく、現職を続けながら探索の初期段階を進める「兼業サーチ(プレサーチ)」から始められる点が特徴です。初期のサーチ活動では、業界構造の理解や企業分析の視点を学びつつ、自分が承継したい企業像を固めていきます。
欧米のように最初にサーチ資金を調達する必要がありません。実際に企業と接点を持つ前に時間をかけて準備ができるため、自分のペースで挑戦を検討しやすくなるといえるでしょう。

承継に向けた条件調整と企業理解の深掘り

承継に前向きな企業が見つかった段階では、条件調整や企業理解を深めるプロセスへ進みます。デューデリジェンスや価値算定などの手続きは専門性が求められる場面もありますが、日本のサーチファンドでは支援組織や専門家と連携しながら進めていきます。
企業の強みと課題を客観的に確認しつつ、事業の将来像を整理していくことが承継の準備につながり、事業を引き継ぐ責任を実感する機会にもなります。
また、経営者や従業員との対話を通じて信頼関係が深まる場面もあるでしょう。承継後のスムーズな移行を支える大切な時間になります。丁寧に企業理解を進めることで、承継後の経営で必要になる視点が自然と身につきやすくなります。
参考:中小企業庁「事業承継ガイドライン」

SPC設立やファイナンスを含む承継プロセス

承継に必要な条件が整った場合、企業の株式を取得するためのスキームへと進み、特別目的会社(SPC)の設立やファイナンス検討などの手続きを行います。日本のサーチファンドでは、株式取得に向けた資金調達に金融機関の協力を得られるケースもあります。
承継の過程では、企業の状況に応じて関係者と相談しながら無理のない計画を立てることが重要になり、誠実な姿勢で対話を重ねることで企業側の安心感にもつながるでしょう。株式の取得は承継プロセスの一つの区切りですが、ここまでの準備で培われた理解や関係性が、承継後の経営に大きく影響を与えます。
参考:中小企業庁「事業承継(支援策の整理)」

承継後は伴走支援を受けながら経営に取り組む

企業承継が完了すると、サーチャーは経営者として事業運営に取り組む段階に入ります。日本のサーチファンドでは、承継後もファンド運営会社や投資家による、人材採用や販路拡大、DX推進など企業ごとの課題に応じたサポートを受けられる場合があります。前経営者のDNAが根付いた企業を引き継ぐことは一筋縄とはいきませんが、前経営者やファンド運営会社を中心に周囲の知見を取り入れながら改善を積み重ねることで、中長期的な成長につなげやすくなります。

従来型ファンドとサーチファンドの違い

サーチファンドとプライベートエクイティファンド等の従来型ファンドは、投資の目的が似ていても、誰が主導し、どこまで支援が入るかが異なります。
ここからは、日本ではアクセラレータ型が多くのケースを占める点も踏まえ、違いを整理して解説します。

日本で主流のアクセラレータ型サーチファンドとは

日本のサーチファンドは、企業探索の段階からファンド運営会社や投資家がサーチャーをサポートし、候補企業の紹介や面談の場づくりを行う点が特徴です。欧米のようにサーチャーが完全に単独で探索するわけではなく、企業の後継者問題を解決するために設計された仕組みとして発展してきました。
承継後も継続的な支援を受けられる場合があるというのが特徴となっています。

投資スキームの違い(個人主導か支援組織との協働か)

従来型ファンドでは、投資委員会や専門チームが組織として投資判断を行い、企業分析や投資後の管理を担います。一方でサーチファンドは、サーチャーが企業探索や承継に向き合う点が中心になりますが、日本型では支援組織や金融機関との協働が前提となります。個人の視点を活かしながらも、専門家の助言やネットワークを活用できる点が特徴です。

投資対象企業の規模や特徴の違い

従来型ファンドは一定の規模を持つ企業や成長ポテンシャルの高い企業を対象にする傾向がありますが、サーチファンドは中小企業、特に後継者不在の企業が中心になります。日本では特に地方企業が対象になることが多く、地域との結びつきや企業の文化を理解しながら承継に向き合う姿勢が求められます。こうした特徴は、地域課題を解決する枠組みとしてサーチファンドが期待される理由にもなっています。

投資家との関係性やサポート体制の違い

従来型ファンドでは投資家がファンドに資金を預け、運営組織が投資判断を進めます。サーチファンドでは、投資家はサーチャーに寄り添いながら承継に向けた活動を支援し、判断に迷う場面や交渉の局面で助言を行うことが多くあります。日本型の場合は、ファンド運営会社や投資家が加わることで伴走支援がさらに厚くなり、単独で進める欧米型とは異なります。こうした多層的な支援体制が、日本のサーチファンドの特徴といえます。

日本型サーチファンドの魅力・特徴

サーチファンドとプライベートエクイティファンド等の従来型ファンドは、投資の目的が似ていても、誰が主導し、どこまで支援が入るかが異なります。
ここからは、日本ではアクセラレータ型が多くのケースを占める点も踏まえ、違いを整理して解説します。

企業調査や条件確認の打ち合わせのイメージ

日本型サーチファンドの魅力は、探索の入り口から承継後まで、検討と意思決定を進めやすい土台が用意されている点にあります。
ここでは、検討時に差が出やすいポイントを解説します。

兼業から挑戦しやすい仕組み

日本型サーチファンドの魅力の1つは、初期段階から退職や大きな資金負担を前提にせず、現職を続けながら検討を進めやすい点にあります。仕事をしながら情報収集や企業研究を進められるため、生活基盤を守りつつ、自分が承継したい業種・規模感や理想の経営スタイルを具体化しやすくなります。
候補企業と向き合う中で「どんな環境なら力を発揮できるか」「どこに不安が残るか」も見えやすく、拙速な判断を避けられる点は安心材料です。準備の時間を確保できることで、家族や将来設計とも両立しやすく、納得感のある意思決定につながります。

企業探索から承継後まで手厚い伴走支援を受けられる

アクセラレータ型では、候補企業との接点形成や面談の調整、デューデリジェンス、価値算定など、専門性が必要な場面で支援を受けながら進められます。個人だけではアクセスが難しい企業にもつながりやすく、判断に迷った際は専門家の助言を得られるため、探索段階から取り組めます。承継後も、企業の成長に向けた人材・販路・DXなどのサポートを受けられるため、経営者としての挑戦できる環境が整っています。

地域企業の承継に携わる社会的意義と成長機会

日本のサーチファンドは、後継者不足に悩む地域企業を支える仕組みとして注目されています。地域に根付いた企業を引き継ぐことで、事業の存続や雇用の維持に貢献でき、経営者としての手応えも得やすくなるのではないでしょうか。また、現場に近い経営を経験することで、意思決定や組織づくりに必要なスキルが自然と磨かれ、長期的なキャリア形成にもつながります。事業承継を通じて地域と企業の未来に貢献できる点は、サーチファンドならではの魅力といえます。

サーチャーが直面しやすい課題と注意点

サーチファンドには取り組む過程で時間や労力を必要とする場面が多くあります。
検討から承継までを進める過程では、判断の質と向き合い方が問われます。支援を受けられる場面がある一方で、企業理解を深め、自分の意思を言語化する力が求められるため、心構えを持って臨むことが大切です。

探索を進めるうえで企業理解に時間をかける必要がある

紹介された企業との対話を重ねる中で、事業の強みや組織文化、経営者の思いを丁寧に確かめていく作業は欠かせません。日本のサーチファンドでは企業との接点が得やすい一方、表面的な情報だけでは承継の可否を判断しにくいため、現場を見て理解を深める姿勢が求められます。探索が長引くというより、企業理解にしっかり時間を使う必要がある点が注意点といえます。

支援者と対話しながら自分の意思を固める難しさ

ファンド運営会社や投資家からの意見や助言を受けながら活動を進められるのは日本型の大きな強みですが、その分、自分の考えをどう形にしていくかが重要になります。支援者と協力しつつも、自分がどのような企業を引き継ぎたいのか、どのような経営を目指したいのか、自分のこれまでの経験をどう活かすのかを言語化する必要があり、その過程で迷いが生じるケースもあります。丁寧に会話を重ねることで、納得感のある意思決定につながります。

承継後の経営では支援を活かしながら実践でスキルを磨く

経営者として事業を引き継ぐ段階では、組織づくりや財務管理、現場とのコミュニケーションなど、多くの新しい課題に向き合うことになります。ただし、日本型サーチファンドでは承継後も支援を受けられます。周囲の助言を活かしながら実践経験を積むことで、自然と経営スキルが磨かれていきます。支援を頼りつつ、自分の考えで方向性を決めていく姿勢が大切になります。

サーチファンドの国内状況とこれからの展望

日本のビジネス環境や市場動向をイメージする都市景観

日本では後継者不足を背景に、サーチファンドへの関心が高まり、地域企業の承継手段として活用が進みつつあります。
事業承継の選択肢を広げる枠組みとして高く評価されており、地域企業と経営志望者をつなぐ役割も期待されています。

日本でのサーチファンド事例と広がり

日本では、金融機関や支援組織と連携したサーチファンドが増えており、後継者不在の企業と経営志望者を結びつける取り組みが少しずつ広がっています。企業探索においては、金融機関のネットワークが候補企業との接点づくりを支え、サーチャーが早い段階から具体的な情報に触れられる点が特徴です。
事業承継の課題が深刻な地域ほど、この仕組みの必要性が高まっており、今後もサーチファンドの活用機会が増えていくのではないでしょうか。
参考:中小企業庁「事業承継・M&Aに関する現状分析と今後の取組の方向性について」

中小企業の事業承継課題との相性

地方では特に、事業の継続意欲はあっても後継者が見つからない企業が多く、サーチファンドは課題解決に向けた実践的な方法として評価されています。企業探索の段階から支援が得られるため、サーチャーは企業の文化や価値観を理解しながら承継に向き合いやすい点も相性の良さにつながります。
事業承継を通じて地域の雇用や産業が守られることから、社会的意義の高い取り組みとして期待されています。
また事業承継に悩む企業にとっても、後継者となるサーチャーが最初から目の前にいるため、通常のM&Aや従来型ファンドへの承継と異なり、事業承継後のギャップを小さくできる可能性が高まります。

今後普及が見込まれる理由

サーチファンドが今後さらに広がると考えられる理由には、個人が挑戦できる仕組みであることに加え、企業探索から承継後の経営まで一貫して支援を受けられる点があります。ファンド運営会社や投資家が関わることで、初めて経営に挑戦する人にとっても取り組みやすい流れが生まれています。
事例が増えるほど理解が深まり、地域企業からの期待も高まることで、今後も普及が進むと見込まれます。

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まとめ|サーチファンドで経営に挑戦する

キャリアの中で「いつか経営に挑戦したい」と考えていながらも、リスクの大きさや経験不足を理由に一歩を踏み出せない方は少なくありません。
経営に挑戦する過程には悩みや迷いがつきものですが、適切な支援があれば一歩を踏み出しやすくなります。サーチファンドは、投資家の伴走を受けながら事業を受け継ぐ仕組みです。経営者としてのキャリアを歩みたいと考えている方にとって、新しい可能性を開く選択肢になります。

株式会社日本サーチファンド(J-Search)では、サーチ活動から承継後の経営まで一貫した支援を行っており、挑戦者が安心して探索・承継に向き合える体制を整えています。日本M&Aセンターグループのネットワークと、地方銀行との強固な連携により、企業との接点を得やすい点は大きな強みです。企業理解を深めながら、自分に合う事業を丁寧に検討できる環境が整っています。

少しでも興味がある方は、まずは気軽にご相談ください。話をするだけでも、自分がどのような形で経営に関わりたいのかが見えやすくなることがあります。新しい挑戦を前向きに考える皆さまを、私たちは丁寧に支援していきます。

【免責事項】
本記事は、サーチファンドおよび事業承継に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の投資、金融商品、M&A取引、事業活動等を推奨・保証するものではありません。記載されている内容は一般的な傾向・事例を紹介したものであり、成果や成功、資金調達の実現、事業承継の成立を約束するものではありません。

サーチファンドの活動および企業承継には、個人の経験、地域の事情、企業の状況、支援機関の体制などによって結果が大きく異なる場合があります。また、事業承継や投資にはリスクが伴い、必ずしも希望する案件が見つかるとは限りません。

本記事の情報は正確性・完全性を保証するものではなく、将来の結果を示唆・保証するものでもありません。具体的な検討や意思決定を行う際には、必ず専門家(金融機関、法律・税務・会計の専門家等)にご相談ください。