経営者とオーナーの違いは?それぞれの役割や経営者になる方法を解説

コラム

公開日:2026/03/31

更新日:2026/04/01

社員に向けて説明する経営者

経営「経営者」と「オーナー」、この2つの言葉は混同されがちですが、実はまったく異なる概念です。会社を動かしている人が経営者、会社を所有している人がオーナーと大まかに理解している方も多いのではないでしょうか。しかし、実際のビジネスの現場ではその境界線は複雑で、どちらの立場を目指すべきか迷っている方も少なくありません。

この記事では、経営者とオーナーそれぞれの定義や役割の違いから、オーナー経営者とプロ経営者のメリット・デメリット、そして経営者になるための具体的な方法までをわかりやすくお伝えします。特に近年注目されている「サーチファンド」を活用した事業承継という選択肢についても詳しく取り上げます。

経営者としてのキャリアを真剣に考えている方や、自分に合った経営のかたちを模索している方は、ぜひ参考にしてください。

経営者とオーナーの違いとは

経営者とオーナーそれぞれの役割を持つ2人のイメージ

「経営者」と「オーナー」は、日常会話ではほぼ同じ意味で使われることが多い言葉です。しかし、ビジネスの現場や事業承継・M&Aの文脈では、この2つの言葉は明確に異なる概念として扱われます。それぞれの定義と役割の違いを押さえておくことが、経営を正しく理解するうえでの第一歩となるでしょう。

経営者の定義と役割

経営者とは、会社の事業活動を実際に動かし、会社運営において責任を持って最終的な決断をしている人物のことです。社長や代表取締役といった肩書を持ち、経営戦略の立案から日々の意思決定、組織のマネジメントまでを担う立場にあります。
重要なのは、経営者は「株式(会社の所有権)を持っているかどうか」とは切り離された概念だという点です。たとえオーナーでなくても、株主から経営を委任された人物が経営者として機能するケースは珍しくなく、大手企業の社長の多くがこの形態にあたります。
経営者の主な役割は次のとおりです。

  • 経営方針・事業戦略の策定と実行
  • 組織・人材のマネジメント
  • 資金調達や財務管理の意思決定
  • 取引先・株主・社員などのステークホルダーとの関係構築
  • 事業の成長と収益確保に向けたリーダーシップの発揮

つまり経営者とは、「会社を所有しているかどうか」ではなく、「会社を動かす責任を担っているかどうか」で定義される存在といえます。

オーナーの定義と役割

オーナーとは、英語の「Owner(所有者)」が語源で、ビジネスの文脈では主に会社の株式を多数保有している人物を指します。株式会社においては、過半数の株式を保有する筆頭株主が「オーナー」と呼ばれることが一般的です。
ただし、オーナーは法律上で明確に定義されている言葉ではありません。厳密には、株式会社は独立した法人格を持つ存在であり、個人が会社そのものを「所有」しているわけではない点には留意が必要です。とはいえ、大株主であれば株主総会における議決権を通じて、経営方針や経営者の選任に強い影響力を行使できます。
オーナーの主な役割は以下のとおりです。

  • 株主として経営者の選任・解任を含む会社の主要な意思決定に関与する
  • 配当金や株式価値の上昇を通じて資産を管理・運用する
  • 会社の経営方針に対して株主の立場から承認・監視する

オーナーは「会社の実質的な所有者」として最終的な影響力を持ちますが、日々の経営業務を直接こなす必要はありません。自ら経営を担う場合は「オーナー経営者」または「オーナー社長」と呼ばれ、他者に委ねる場合は経営とオーナーシップが分離した状態となります。

所有と経営の分離という考え方

「所有と経営の分離」とは、会社の所有者(株主・オーナー)と、実際に会社を経営する人物(経営者)が異なる状態を指します。近代的な株式会社制度の根幹をなす考え方であり、特に大企業や上場企業ではこの形態が広く採用されています。
所有と経営が一致している状態、つまりオーナー経営者のケースでは、創業者やその後継者が株式の大部分を保有したまま自ら社長として経営を行います。意思決定が速く、長期的なビジョンに基づいた経営がしやすい反面、経営者個人への依存度が高くなりやすいという側面もあります。
一方、所有と経営が分離している状態では、オーナーや株主から委任を受けた人物が社長を務めます。経営の透明性が高まりやすい半面、重要な意思決定に株主総会などの合意形成が必要となるため、スピードが落ちる場合もあります。

2025年版の中小企業白書によると、中小企業のうち所有と経営が分離している企業はわずか6.7%にとどまっており、日本の中小企業では所有と経営が一致した形態が依然として主流であることがわかります。

参考:2025年版中小企業白書

同族企業や個人事業主との違い

経営者・オーナーという概念と混同されやすい言葉に、「同族企業」と「個人事業主」があります。それぞれの違いも確認しておきましょう。

同族企業との違い

同族企業とは、特定の家族・親族グループが株式の保有や経営に深く関わっている企業を指します。オーナー企業が「特定の個人」による支配に焦点をあてるのに対し、同族企業は「家族・一族全体」の関与を強調する言葉です。法人税法上は「会社の株主3人以下、およびその特殊関係者が議決権の50%超を保有する会社」を同族会社と定義しています。実態としてオーナー企業と重なるケースも多いものの、厳密には異なる概念として区別されます。

個人事業主との違い

個人事業主は法人格を持たず、個人として事業を営む形態です。オーナー企業が「法人としての構造」を持つのに対し、個人事業主は事業の収益・損失・責任のすべてが個人に帰属します。また、個人事業主は「無限責任」を負うのに対し、法人のオーナー(株主)は原則として出資額の範囲内でのみ責任を負う「有限責任」が適用されます(ただし個人保証を行っている場合を除きます)。

オーナー経営者とプロ社長のメリット・デメリット

オーナー経営者とプロ社長それぞれのメリット・デメリットを比較するイメージ

経営者には大きく分けて、自ら株式を持つ「オーナー経営者」と、オーナーから経営を任された「雇われ社長(プロ経営者)」の2つのタイプがあります。どちらが優れているというわけではなく、それぞれに強みとリスクがあります。
自分がどちらの立場を目指すのかを考えるうえで、両者の特徴を理解しておくことは重要です。

オーナー経営者の強みとリスク

オーナー経営者の最大の強みは、所有者としての権限と経営者としての権限が一致しているため、スピーディーな意思決定が可能な点です。株主総会や取締役会の承認が自らの判断とほぼ同一であり、大胆な投資や方針転換を行えます。自分自身の資産や事業の将来が直接かかっているからこそ、長期的なビジョンを持って経営に向き合いやすいのも、この立場ならではの特徴といえます。

人材の面では、創業者が持つ情熱や「苦労人」としての説得力が、組織をまとめる力になることがあります。企業文化を自ら体現できるのも、オーナー経営者ならではの強みです。

一方で、リスクも存在します。自分の判断がすべてになりやすいため、客観的な視点が失われ「ワンマン経営」に陥る可能性があります。また、事業と個人資産が密接に結びついているぶん、会社の業績悪化が個人の財産に直結するリスクも抱えることになります。後継者の育成が後回しになりがちな点も、長期的な課題として挙げられます。

プロ経営者の強みとリスク

プロ経営者(雇われ社長)とは、会社の株式を持たず、オーナーや株主から経営を委任された形で社長を務める人物です。自分で資金を出さずに経営トップの立場となるため、オーナー経営者と比してリスクを抑えながら経営できるという点が大きな魅力といえます。

外部から客観的な視点を持ち込めるため、組織改革や新たな経営戦略の導入においても力を発揮しやすい傾向があります。上場企業や大企業でプロ経営者が重用されるのは、こうした専門性と客観性が評価されているからです。

ただし、定款変更や資本政策等の重要な意思決定権はオーナーや株主側にある点には注意が必要です。自分が正しいと思う経営判断であっても、株主総会や取締役会を通じた合意形成が必要になるため、動きのスピードは必然的に落ちます。また、業績によっては任期途中に解任されるリスクもゼロではありません。「社長」という肩書を持ちながら、実質的にはオーナーの指示を実行するだけの立場になってしまうケースも、残念ながら見受けられます。

経営者を目指す方法

経営者を目指すビジネスパーソンがビル街を見渡しているイメージ

経営者になる道は、起業だけではありません。自分の状況や目指すキャリア像に合わせて、現実的なルートを選ぶことが大切です。
代表的な方法を3つ紹介します。

  • ゼロからの起業
  • 社内昇格や外部招聘による経営者就任
  • サーチファンドを活用した事業承継

それぞれ順番に解説していきます。

ゼロからの起業

起業は、自分のビジネスアイデアや専門スキルをもとに、ゼロから会社を立ち上げる方法です。オーナーと経営者を最初から兼ねる形となるため、自由度が高く、自分のビジョンをそのまま事業に反映させやすいのが特徴です。

一方で、事業の立ち上げには初期投資が必要であり、軌道に乗るまでの期間は収入が不安定になることも多いため、相応のリスクは伴います。製品・サービスの開発から営業、採用、資金調達まで、あらゆる領域を自分でこなす必要があることから、経営経験のないまま挑戦すると、思わぬところで壁にぶつかることもあるでしょう。

近年はスタートアップ支援の制度や創業融資なども充実してきており、以前と比べて起業のハードルは下がりつつあります。それでも、覚悟を持って臨むことが大切なのは変わりありません。

社内昇格や外部招聘による経営者就任

社内で実績を積み上げ、取締役・役員を経て社長に就任するルートも、経営者を目指す現実的な方法の一つです。特に大企業では、長年の業績評価をもとに経営幹部が選抜される仕組みが整っており、社内昇格によって経営のトップに立つ人物も少なくありません。

外部からの招聘という形もあります。他社での経営経験やマネジメントの実績が評価され、外部からCEOや社長として迎えられるケースです。特に業績改善や事業変革が急務の場面では、外部の視点と専門性を持つ人材への期待が高まります。

また近年では、PE(プライベートエクイティ)ファンドの投資先企業のCEOとして就任するルートも注目されています。PEファンドが中小・中堅企業に投資を行った際、経営改善や企業価値の向上を担うCEOとして外部から人材を招くケースが増えており、経営未経験であってもポテンシャルと意欲が認められれば挑戦できる機会が生まれています。

サーチファンドを活用した事業承継

サーチファンドとは、「経営者になりたい個人(サーチャー)」が投資家から資金提供を受け、承継する企業を自ら探し出し、その会社の経営者としてオーナーシップを持って事業を引き継ぐ仕組みです。1980年代にアメリカのビジネススクールで生まれたモデルで、近年は日本でも広まりつつあります。

なお、日本では運営会社がファンドを組成し、サーチャーの選定から企業探し・承継後の実務まで一貫して支援する「アクセラレータ型」が主流です。個人が単独で投資家を集めるトラディショナル型とは異なり、運営会社のサポートを受けながら経営者を目指せる点が特徴といえます。

後継者不足に悩む中小企業が多い日本において、サーチファンドは売り手・買い手双方にメリットのある手段として注目を集めています。多額の自己資金がなくても、既存の顧客・従業員・ブランドを持った会社の経営者になれ、将来的にオーナー経営者になれる可能性がある点が、このルートの魅力です。

サーチファンドについては下記で詳しく解説しています。

サーチファンドで経営者を目指すなら日本サーチファンド(J-Search)

サーチファンドを活用して経営者を目指すうえで、信頼できるパートナーの存在は欠かせません。日本サーチファンド(J-Search)は、経営者を志す方のサーチ活動から事業承継後の実務まで、一貫したサポートを提供しています。

サーチ活動への伴走サポート

日本サーチファンドでは、承継する企業を探す「サーチ活動」の段階から、専門的な知見を持つチームが伴走します。正式にサーチャーとして選ばれた後は、日本サーチファンドとともに自分のキャリアを活かして成長させられる企業を探す活動が始まります。

投資候補先が決まった後のデューデリジェンスや契約書締結などの実務はJ-Searchが全面的にサポートし、投資提案・事業計画策定・100日プランの作成・実行については日本PMIコンサルティング(日本M&AセンターHDグループ)が支援できる体制を整えています。経営経験がない段階でも、グループ全体のノウハウを活用しながら着実に前進できる環境があります。

地域企業との出会いをつくる仕組み

日本サーチファンドの特徴の一つが、地域金融機関との連携を軸にした企業紹介の仕組みです。地域金融機関は地元企業の情報を豊富に持っており、サーチャーと企業とのマッチングを支援するとともに、資金調達の面でもサーチャーを後押しします。また、日本M&Aセンターの受託案件の紹介も活用できるため、自分独自のサーチ活動と組み合わせながら、幅広い選択肢のなかから承継先を探すことができます。

地方企業を主な対象としているため、地域への貢献を念頭に経営者を目指したいという方にとっても、具体的な出会いの機会が生まれやすい環境です。

承継前後の実務を支えるサポート体制

事業承継はゴールではなく、スタートです。日本サーチファンドは、承継完了後も経営の実務面でのサポートを継続して提供しています。事業計画や100日プランの策定・実行支援を通じて、引き継いだ会社を安定させる初期フェーズを手厚くサポートします。

初めて経営者になる方にとって、承継直後の孤独になりがちな局面においても、グループ全体の知見とネットワークを頼れる環境があることは、経営者としての第一歩を踏み出すうえでの大きな支えとなるでしょう。

経営者とオーナーの違いに関するよくある質問

最後に経営者とオーナーの違いに関するよくある質問とその回答を紹介します。

経営者とオーナーはどちらが偉いのか?

法律的な権限の面からみると、オーナー(株式の大部分を保有する筆頭株主)のほうが上位に位置します。オーナーは株主総会を通じて経営者の選任・解任を行える立場にあるため、最終的な影響力はオーナー側にあるといえます。

ただし、「どちらが偉いか」という観点で比較することにはあまり意味がありません。オーナーと経営者はそれぞれ異なる役割を担っており、どちらが欠けても会社は機能しません。オーナーが会社の「所有」に関わる立場であるのに対し、経営者は「実行」に責任を持つ立場です。この2つを同一人物が担うのがオーナー経営者であり、分離している場合がプロ経営者という関係になります。

オーナーでなくても経営者になれるのか?

なれます。大企業や上場企業の経営トップの多くは、株式をほとんど持たない「プロ経営者」です。経営者になるために株式を保有する必要はなく、オーナーや株主から信頼を得て経営を委任されることで、経営者としての立場を得ることができます。

サーチファンドを活用した事業承継では、投資家からの資金支援を受けながら株式を取得し、経営者としてオーナーシップを持って会社に入るという選択肢もあります。「自分には資金も人脈もない」と感じている方でも、経営者を目指せるルートは複数あります。

経営未経験からでも社長になれるのか?

なれます。経営の経験は、最終的には「実際に経営する」ことでしか積めません。重要なのは、ゼロから経験を積める環境と、周囲のサポート体制です。

サーチファンドの世界では、大企業でのビジネス経験を持つ方が、初めての経営者として中小企業を引き継ぐ事例が国内外で生まれています。投資家やサポート組織が伴走してくれる環境があるため、完全に一人で立ち向かう必要はありません。「経営未経験だから難しい」と考えるよりも、「どうすれば経験を積める環境に入れるか」を考えることが、経営者への第一歩になるでしょう。

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まとめ|経営者とオーナーの違いを理解して自分に合った道を選ぼう

経営者とオーナーは混同されがちですが、本来は異なる概念です。オーナーは会社の株式を保有する「所有者」としての立場を指し、経営者は事業を実際に動かす「実行責任者」を指します。この2つが一致するのがオーナー経営者であり、分離しているのがプロ経営者(雇われ社長)です。

経営者を目指す方法は、起業・社内昇格・外部招聘・サーチファンドを通じた事業承継など複数あります。なかでもサーチファンドは、支援組織のサポートを受けながらオーナー経営者を目指せる仕組みとして、後継者不足が深刻化する日本において注目が高まっています。

「いつか経営者になりたい」という思いをお持ちの方は、まず自分に合ったルートを探すことから始めてみてください。日本サーチファンド(J-Search)では、経営者を志す方の第一歩を丁寧にサポートしています。

【免責事項】
本記事は、サーチファンドおよび事業承継に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の投資、金融商品、M&A取引、事業活動等を推奨・保証するものではありません。記載されている内容は一般的な傾向・事例を紹介したものであり、成果や成功、資金調達の実現、事業承継の成立を約束するものではありません。

サーチファンドの活動および企業承継には、個人の経験、地域の事情、企業の状況、支援機関の体制などによって結果が大きく異なる場合があります。また、事業承継や投資にはリスクが伴い、必ずしも希望する案件が見つかるとは限りません。

本記事の情報は正確性・完全性を保証するものではなく、将来の結果を示唆・保証するものでもありません。具体的な検討や意思決定を行う際には、必ず専門家(金融機関、法律・税務・会計の専門家等)にご相談ください。