起業の成功率は?失敗しやすい原因と成功率を高める方法を解説

コラム

公開日:2026/03/31

更新日:2026/04/01

スーツ姿でガッツポーズをする経営者

起業を考えているとき、「どれくらいの割合で成功できるのか」「失敗したらどうなるのか」と不安を感じる方は多いのではないでしょうか。実際に、起業後に数年で廃業してしまうケースは少なくなく、成功率の低さを理由に一歩を踏み出せずにいる方もいると思います。

起業の成功率は、業種や準備の質、資金計画など、さまざまな要因によって変わります。成功率の実態を正しく把握した上で、失敗しやすいポイントを知っておくことが、リスクを減らすための第一歩です。

この記事では、中小企業白書などのデータをもとに起業の成功率の実態を解説しつつ、失敗する主な原因と成功率を高めるための具体的な方法をお伝えします。また、ゼロからの起業に不安を感じている方に向けて、事業承継やサーチファンドといった別の選択肢もご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

起業の成功率はどれくらいか

起業のデータを確認するビジネスマンのイメージ

「起業は難しい」というイメージは広く知られていますが、実際の数字を確認したことがある方は少ないかもしれません。成功率の実態を正しく把握しておくことで、準備の方向性や判断の精度が大きく変わってきます。まずは公的なデータをもとに、現実を確認してみましょう。

中小企業白書が示す企業の生存率

起業の「成功率」を正確に示す統計データは、現時点では日本国内に存在しません。そのため、多くの場面では「企業生存率」が成功率の代わりとなる指標として活用されており、起業・開業した企業が廃業や倒産をすることなく経営を維持できている割合を指します。

この分野で広く参照されている公的データとして、中小企業庁が発行する「中小企業白書(2017年版)」があります。同白書によると、日本における企業生存率は以下のとおりです。

  • 起業後1年:95.3%
  • 起業後2年:91.5%
  • 起業後3年:88.1%
  • 起業後4年:84.8%
  • 起業後5年:81.7%

「起業は9割が失敗する」という言葉が広まっている割に、5年後の生存率は約82%と比較的高い水準にあることがわかります。なお、中小企業白書(2023年版)でも創業後5年の企業生存率は約80.7%と報告されており、大きな傾向は変わっていません。

ただし、これらのデータは帝国データバンクのデータベースに登録されている法人を対象としており、小規模な個人事業主などは含まれていない点には注意が必要です。実際の生存率よりも高めに算出されている可能性があるため、数字だけを見て楽観視するのは禁物といえます。

年数別に見る生存率の推移

中小企業白書(2017年版)によると、起業後1〜5年の生存率は前述のとおりです。年数が経つにつれて生存率は低下していく傾向があり、固定客や安定した取引先がついてくれば廃業リスクは下がっていきます。いかに創業から最初の数年間を乗り越えるかが、事業の継続を大きく左右するといえるでしょう。

一方、ベンチャー企業に関してはより厳しいデータも存在します。日経ビジネスの報道によると、ベンチャー企業の生存率は起業後5年で約15%、10年で約6.3%という数字も示されています。ただし、これはベンチャー企業に特化したデータであり、急成長を目指す事業の性質上リスクが高くなりやすい点も影響しています。一般的な中小企業と同列に比較するのは難しいため、参考値として捉えるのが適切です。

参考:日経ビジネス

海外と比較した日本の起業成功率

日本の起業の生存率は、海外と比べると高い水準にあります。中小企業白書(2017年版)の国際比較データによると、起業から5年後の生存率は以下のとおりです。

  • 日本:81.7%
  • アメリカ:48.9%
  • イギリス:42.3%
  • ドイツ:40.2%
  • フランス:44.5%

欧米諸国の多くが5年後に50%を下回っているのに対し、日本は約82%を維持しています。統計の取得方法や性質が異なるため単純な比較はできませんが、日本企業が比較的長期にわたって事業を継続しやすい傾向にあることは確かです。

この背景には、日本の開業率そのものが欧米と比べて低く、慎重に準備をしてから起業する傾向が強いことが挙げられます。また、欧米では事業がうまくいかない場合に業態転換や売却で乗り切る事例が多い一方、日本では廃業を選ぶケースが多いという文化的な違いも背景にあります。

加えて、日本では経営者の高齢化に伴い後継者不在のまま廃業を選択するケースも少なくありません。東京商工リサーチの調査では、2024年の休廃業・解散件数は6万2,695件と過去最多を記録しており、廃業した企業の代表者の平均年齢は72.6歳でした。業績が悪くなくても廃業している企業が多い点は、日本特有の課題として理解しておく必要があります。

参考:2017年版中小企業白書
参考:2023年版中小企業白書
参考:TSRデータインサイト「2024年の「休廃業・解散」企業 動向調査」

起業が失敗する主な要因

起業後に廃業してしまうケースには、いくつかの共通した原因があります。成功率を高めるためには、まず「なぜ失敗するのか」を理解しておくことが大切です。
資金・市場・経営スキルという3つについて解説していきます。

資金繰りの悪化

起業が失敗する原因として最も多く挙げられるのが、資金繰りの悪化です。事業を始める際には初期費用の準備に注目しがちですが、問題になりやすいのは起業後の「運転資金」の管理といえます。

特に創業直後は売上の入金タイミングが遅れることも多く、手元現金が尽きる「資金ショート」から黒字のまま倒産するケースもあります。

こうしたリスクを抑えるためには、売上が想定より低い場合のシナリオも事業計画に織り込んだ上で、手元に少なくとも数ヶ月分の運転資金を確保しておくことが重要です。創業融資の活用や追加の資金調達手段をあらかじめ把握しておくことも、いざというときの備えになります。

市場調査やビジネスモデルの不足

「このサービスはきっと売れる」という確信だけで事業をスタートさせてしまうのも、失敗につながりやすいパターンの一つです。実際に顧客がいるかどうか、どれだけの価格で買ってもらえるか、競合との差別化はできているかといった点を、事前に十分検証できていないケースは少なくありません。

市場調査が不十分なまま起業すると、いくら良い商品やサービスを作っても顧客に届かず、売上が立たない状況が続きます。ビジネスモデルに構造的な問題がある場合は、販売すれば売れるが利益が残らない、あるいは規模が大きくなるほどコストが膨らむといった課題を抱えることにもなりかねません。

起業前に見込み顧客へのヒアリングを行ったり、小規模でサービスを試験的に提供したりすることで、ビジネスモデルの実効性を確かめてから本格展開することが大切です。

経営スキルや業界経験の不足

「仕事ができる」ことと「経営ができる」ことは、必ずしも同じではありません。会社員として優秀だった方でも、いざ経営者として独立すると、資金管理・人材採用・営業・法務といった幅広い業務を一人でこなさなければならず、戸惑う場面が多くなります。

特に未経験の業界で起業した場合は、業界特有の商習慣や人脈がないため信頼を構築するまでに時間がかかり、経験豊富な競合との差を埋めるには相応の努力が必要です。また、経営スキルの不足は意思決定の質にも影響し、優先順位の判断ミスや対応の遅れが積み重なると、事業の方向性が定まらなくなったり、従業員や取引先との信頼関係が損なわれたりする原因にもなります。

起業前に目指す業界での実務経験を積んでおくこと、また財務・マーケティング・法務などの基本的な経営知識を身につけておくことが、リスクを下げる上での大きな助けになるでしょう。

起業の成功率を高めるための方法

起業の成功率を高めるための取り組みを積み上げるイメージ

起業の成功率は、事前の準備と進め方次第で大きく変わります。リスクをゼロにすることは難しくても、正しいステップを踏むことで廃業のリスクを着実に下げることは可能です。
主なポイントとして、以下の3つが挙げられます。

  • 綿密な事業計画書を作成する
  • 小さく始めてリスクを抑える
  • 経験や人脈を活かせる分野を選ぶ

綿密な事業計画書を作成する

事業計画書は、起業前に自分の事業を客観的に整理するための重要なツールです。「売れるはず」という感覚的な見通しを、数字と根拠で裏付ける作業といえます。
事業計画書に盛り込む主な内容としては、以下のような項目が挙げられます。

  • 事業のコンセプトとターゲット顧客
  • 市場規模と競合分析
  • 収益モデルと価格設定
  • 初期費用・運転資金の見積もり
  • 売上・利益の月次シミュレーション
  • リスク想定と対応策

作成の過程で自分のビジネスの弱点や見落としが見えてくることも多く、金融機関からの融資を申請する際にも必要となるため、起業準備の早い段階から着手しておくと安心です。一人での作成が難しければ、創業支援センターや金融機関、税理士などの専門家に相談しながら進めるのも一つの方法です。

小さく始めてリスクを抑える

最初から大きな設備投資や人員確保を行うのではなく、できるだけ小さな規模でスタートすることがリスク管理の観点から有効です。

例えば、会社員を続けながら副業として事業を始め、収益が安定してから独立するという方法があります。本業の収入があることで生活費の不安が少なく、万が一うまくいかない場合でも致命的な打撃を受けにくくなります。事務所はシェアオフィスや自宅から始める、設備はレンタルや中古品を活用するといった工夫も、初期費用を抑える上で効果的です。

小さく始めることは「勢いがない」のではなく、計画的に事業を育てる上での現実的な選択といえます。

経験や人脈を活かせる分野を選ぶ

起業する分野の選択は、成功率に大きく関わります。これまでの職歴やスキルが直接活かせる分野であれば、業界の知識や人脈がすでに備わっているため、スタートラインでの優位性が高くなります。

業界経験があれば顧客ニーズを正確に把握できるだけでなく、既存の取引先や人脈を通じて初期の顧客獲得にもつながりやすくなります。また、業界特有のリスクや慣習を把握しているため、予期せぬトラブルへの対応力も高まります。

もし未経験の分野に挑戦したい場合は、副業や社内プロジェクトを通じて経験を積み、一定の知識と人脈を構築してから独立するのが現実的です。知識や人脈のハンデを営業力や商品開発力などの別の強みでカバーする方法もありますが、それには相応の準備期間と努力が必要であることは念頭に置いておきましょう。

ただし、現業での雇用契約における競業避止や顧客データの持ち出しが昨今問題となるケースが多いため、留意が必要です。

ゼロからの起業が不安な場合の選択肢

立ち並ぶ都市のオフィスビル群

経営者になる道は、何もないところから事業を立ち上げる「ゼロからの起業」だけではありません。すでに実績のある企業を引き継ぐという選択肢も、近年注目を集めています。

既存企業を引き継ぐ事業承継という方法

事業承継とは、既存の企業の経営権を引き継いで経営者になる方法です。顧客・従業員・取引先・事業基盤が整った状態からスタートできるため、立ち上げ期の失敗リスクが低く、初期から一定の収益を見込みやすい点がゼロからの起業との大きな違いです。

日本では少子高齢化の影響で、後継者不在のまま廃業を検討している中小企業が増えています。経営者の高齢化が進む中、第三者への事業承継ニーズは年々高まっており、経営者を目指す人にとってはチャンスともいえる状況です。

一方で、前経営者のやり方や組織文化を尊重しながら変革を進める必要があり、自分の色を出すのに時間がかかる場合もあります。引き継いだ事業に潜在的な問題が隠れているケースもあるため、事前の調査・確認は欠かせません。

サーチファンドを活用した事業承継

事業承継に挑戦したいと思っても、「対象企業をどうやって探せばいいのか」「買収に必要な資金をどう調達するのか」という壁に直面する方は少なくありません。そこで活用できる仕組みが「サーチファンド」です。

サーチファンドとは、経営者を目指す個人(サーチャー)が投資家の支援を受けながら、自ら承継する企業を探し、M&Aを通じて経営権を取得する投資の仕組みです。1984年に米国のビジネススクールで生まれた手法で、近年は日本でも注目が高まっています。

日本では、投資家やファンド運営会社がサーチャーの探索活動から経営就任後まで継続的に伴走する「アクセラレータ型」が主流となっています。アクセラレータ型では資金調達はファンド運営会社が事前に投資家からコミットを得ているため、実績や資金力に限界がある個人でもチャレンジしやすい仕組みになっており、サーチャーが自らの意志と強みを活かして経営に臨める点も大きな魅力といえます。
サーチファンドについては下記で詳しく解説しています。

サーチファンドで経営者を目指すなら日本サーチファンド(J-Search)

サーチファンドへの関心はあるものの、「具体的にどこに相談すればいいのかわからない」という方も多いでしょう。日本サーチファンド(J-Search)は、東証プライム上場の日本M&Aセンターホールディングスのグループ企業として、前述のアクセラレータ型を採用し、地方の中小企業の事業承継を通じて経営者を目指す方を一貫してサポートしています。

兼業しながら始められるサーチの仕組み

日本サーチファンドでは、現在の仕事を続けながらサーチ活動を始めることが可能です。いきなり会社を辞めて動き出す必要がないため、生活面の不安を抱えることなく、自分のペースで経営者への道を探ることができます。

サーチャーとして正式に選ばれた後は、日本サーチファンドと連携しながら自分のキャリアや強みを活かせる企業を探していきます。自身でのサーチ活動に加え、地域金融機関や日本M&Aセンターからの案件紹介も受けられるため、企業との出会いの機会が広がります。経営初心者のサーチャーを対象とした研修プログラムも用意されており、経営の実務を学びながら準備を進めることが可能です。

地域金融機関との連携による案件情報

日本サーチファンドの強みの一つは、地域金融機関との緊密な連携体制にあります。 全国各地の地域金融機関と連携したサーチファンドを組成しており、地元に根差した企業情報へのアクセスが可能です。

地域金融機関は、その地域の中小企業の実態を長年にわたって把握しており、経営状況や後継者問題など、表には出にくい企業情報も持っています。地方での経営者を目指す方や、地元に貢献したいと考えている方にとって、特に心強い環境といえます。

M&Aの専門ノウハウを活かした実務支援

日本サーチファンドはグループ会社である日本M&Aセンターの豊富な実績とノウハウを活かし、M&Aプロセス全体にわたる実務支援を行っています。デュー・ディリジェンス(対象企業の調査)、契約交渉・締結といった専門性が求められる場面でも、日本サーチファンドが全面的にサポートする体制です。

また、事業承継後の経営計画策定や100日プランの作成・実行については、日本PMIコンサルティングが支援を担うことも可能です。「経営に挑戦したい気持ちはあるが、M&Aの専門的なプロセスに自信がない」という方でも、安心して事業承継に臨める環境が整っています。まずはカジュアルな面談から始められるため、気軽に相談してみることをおすすめします。

起業の成功率に関するよくある質問

起業の成功率に関連して、よくある質問と回答を紹介します。

起業の成功率が高い業種はあるのか?

業種によって廃業率に一定の差があることは確かです。中小企業庁の小規模企業白書によると、廃業率が相対的に高い業種として「宿泊業・飲食サービス業」「小売業」「生活関連サービス業」などが挙げられています。新規参入が多く競争が激しいうえ、立地条件や原材料価格に売上が左右されやすいことが背景にあります。

一方、製造業やBtoB(企業向け)のビジネスは取引関係が安定しやすく、比較的継続率が高い傾向があります。実店舗や大量の在庫が不要な業種は固定費を抑えやすく、資金繰りの面でリスクが低くなりやすい点も特徴です。
ただし、「成功率が高いから」という理由だけで業種を選ぶことは得策ではなく、自分の強みや経験が活かせるかどうかが長期的な成功には大きく関わってきます。

未経験の業種でも起業できるのか?

未経験の業種での起業は不可能ではありませんが、成功率が下がるリスクがある点は理解しておく必要があります。まず副業や転職で業界経験を積んでから独立するのが現実的な選択で、経営力・営業力・商品開発力など、業界知識以外の強みをどう持ち込むかが成否を左右します。

起業と事業承継はどちらのリスクが低いのか?

一般的には、事業承継のほうがリスクは低い傾向があります。事業基盤が整った状態からスタートできるため、立ち上げ期に収益がほぼゼロという状況を避けやすく、初期から一定の売上を見込める点が大きな違いです。

ただし、前経営者が築いた組織文化や慣習を尊重しながら変革を進める必要があるほか、引き継いだ事業に潜在的な問題が隠れているケースもあるため、事前の調査・確認が欠かせません。どちらが自分に向いているかは、資金力・スキル・リスク許容度・目指すビジネスの方向性によって異なります。

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まとめ | 起業の成功率を正しく理解して自分に合った道を選ぼう

起業後5年での企業生存率は約81.7%であり、「起業は9割が失敗する」というイメージほど厳しい数字ではありません。ただし、データベース登録企業を対象とした集計である点や、年数が経つほど生存率が低下する点も踏まえると、リスクを過小評価しないことも大切です。

起業が失敗しやすい主な原因は、資金繰りの悪化・市場調査やビジネスモデルの不足・経営スキルや業界経験の不足の3つです。これらを踏まえた上で、事業計画の作成・小さく始めるリスク管理・自分の強みを活かせる分野の選択に取り組むことが成功率を高める上で重要です。

ゼロからの起業に不安を感じる場合は、既存企業を引き継ぐ事業承継という選択肢も検討する価値があります。中でもサーチファンド(日本ではアクセラレータ型が主流)は、専門家の伴走支援を受けながら自分に合った企業を探して経営者になれる仕組みとして、近年注目を集めています。

日本サーチファンド(J-Search)では、地域金融機関との連携やM&Aの専門ノウハウを活かした実務支援を受けながら、兼業のまま経営者への第一歩を踏み出せます。経営者を目指している方は、ぜひ一度相談してみてください。

【免責事項】
本記事は、サーチファンドおよび事業承継に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の投資、金融商品、M&A取引、事業活動等を推奨・保証するものではありません。記載されている内容は一般的な傾向・事例を紹介したものであり、成果や成功、資金調達の実現、事業承継の成立を約束するものではありません。

サーチファンドの活動および企業承継には、個人の経験、地域の事情、企業の状況、支援機関の体制などによって結果が大きく異なる場合があります。また、事業承継や投資にはリスクが伴い、必ずしも希望する案件が見つかるとは限りません。

本記事の情報は正確性・完全性を保証するものではなく、将来の結果を示唆・保証するものでもありません。具体的な検討や意思決定を行う際には、必ず専門家(金融機関、法律・税務・会計の専門家等)にご相談ください。